このページでは、暮らしのレシピになる様々な情報を掲載。読者や編集部員の質問「糖質制限ダイエットはなぜイライラするのですか?対処法はある?」に、ズバッと結論から回答しています。
糖質制限ダイエットはなぜイライラするの?
糖質制限ダイエットにおけるイライラの原因は主に、糖質摂取の減少による血糖値の変動、脳へのエネルギー供給不足、セロトニンの減少、心理的ストレス、栄養バランスの偏りなどが考えられます。
これらの要素が組み合わさって、イライラ感を引き起こすことが多いのです。ざっくりと見てみましょう。
1. 糖質摂取の減少による血糖値の変動
糖質はエネルギーの主要な源であり、体内で分解されると血糖値が上昇します。糖質を制限すると、血糖値の急激な変動が生じることがあります。
血糖値が不安定になると、体調の変動や気分の揺れを感じることがあり、イライラを引き起こすことがあります。
3. 脳へのエネルギー供給不足
糖質は脳のエネルギー源としても重要です。糖質を制限することで、脳へのエネルギー供給が不足すると、集中力の低下や疲労感を感じることがあります。
その結果、感情のコントロールが困難になり、イライラすることがあるのです。
これは特に糖質制限ダイエットの初期(ケトーシス状態になる前)に多い現象といえます。頑張って乗り越えるしかないと割り切ることも大切でしょう。
4. セロトニンの減少
糖質摂取が減少すると、幸福感を感じる神経伝達物質であるセロトニンの生成が減少することがあります。
セロトニンが不足すると、うつ病などの精神的な問題やイライラが生じることがあります。
糖質制限によるケトーシス状態の場合に、セロトニンが減少するかまでははっきりわかっていないようですが、イライラの要因のひとつとして考えられます。
5. 心理的ストレス
糖質制限ダイエットは食事の選択肢を制約するため、食べたいものを我慢するストレスが生じることがあります。
この心理的ストレスが積み重なると、イライラとして表れることも考えられます。
6. 栄養バランスや摂取する食べ物の偏り
糖質制限ダイエットでは、糖質の摂取を抑える代わりに、タンパク質や脂質の摂取が増えることが一般的です。しかし、これによって栄養バランスが偏り、体調不良を引き起こすことがあります。
また、普段は食べない食べ物を多く摂取することで、腸内環境も変わっている可能性があります。
例えば低糖質だからといってハムやソーセージ等の加工肉を多く摂取すると、腸内で悪玉菌が発生します。腸内バランスが崩れるとやる気も削がれるという研究結果があり、倦怠感がイライラの遠因となっている可能性があります。
まとめ
糖質制限ダイエットによるイライラは、体と心の複雑な相互作用によって生じる現象です。上記の要因を理解し、適切に対処することで、健康的なダイエットを実践することが可能です。バランスの取れた食事と、適切なサポートが成功への鍵となります。
糖質制限ダイエットでなるべくイライラしない方法はありますか?
糖質制限ダイエットを行いながらイライラを最小限に抑える方法は存在します。以下はそのための具体的な対策です。
1. 徐々に糖質を減らす
急激に糖質をカットするのではなく、徐々に減らしていくことで、血糖値の急激な変動や体調の変化を緩和することが可能です。
2. 複雑炭水化物の取り入れ
多くの糖質制限ダイエットの場合、完全に糖質をカットするのではなく、一日のなかで少しだけ(例えば1日50gなど)糖質を摂取するかと思います。
その際には白米や白パンなどの単純糖質ではなく、全粒粉のパンや玄米などの複雑炭水化物を摂取しましょう。
いわゆるGI値が低い食物は、インシュリン分泌を控えめにし、血糖値の上昇を穏やかにし、イライラを抑制できます。
(また、そもそも糖質制限ダイエットにおいては、インシュリンが分泌される(血糖値が上がる)ほどの糖質を摂取している場合、ケトーシス状態を維持できていない場合があるので、要注意です。)
3. 「腸活」を意識し必要な栄養素を補給する
糖質を制限することで不足しがちなビタミンやミネラル、また食物繊維を、野菜や果物、健康食品などから摂取することで、栄養バランスを整えます。
食物繊維は腸内環境を整え、やる気や活力感を与えてくれます。
またビタミンB群は不足するとイライラを招き、ビタミンCは精神的なストレス増加を招くなどをされているため、微量栄養素についてもしっかり日々の食事で摂取できているかチェックすることが必要です。
4. 十分な水分・塩分の摂取
水分や塩分の不足はイライラの原因になることがあるため、特に運動時などにはしっかり補給しましょう。
5. ストレス管理
食事制限によるストレスを軽減するために、リラックスできる時間を持つ、趣味を楽しむなどのストレス管理を意識しましょう。
趣味に没頭しているうちに時間が過ぎていれば、イライラの時間も軽減できるはずです。
上手な低糖質ダイエットをしよう
糖質制限ダイエットでイライラしないためには、食事のバランス、生活習慣の管理、メンタルケアなどが重要です。
自分に合った方法を見つけ、無理せずに進めることが、健康的なダイエットを成功させる鍵となります。必要であれば、専門家と一緒に進めることも検討しましょう。
今回のテーマに関連する論文・文献
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糖質制限ダイエットと心理的効果
- 論文名: “Effects of Dietary Composition on Energy Expenditure During Weight-Loss Maintenance“
- 著者: Cara B. Ebbeling, Janis F. Swain, Henry A. Feldman, et al.
- 掲載誌: JAMA, 2012
- 概要: この研究は、糖質制限ダイエットがエネルギー消費に及ぼす効果を調査していますが、心理的効果についての情報も含まれています。
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低糖質ダイエットと気分
- 論文名: “Mood and cognitive changes during systemic corticosteroid therapy“
- 著者: Brown ES, Chandler PA.
- 掲載誌: Primary Care Companion to The Journal of Clinical Psychiatry, 2001
- 概要: システム的コルチコステロイド治療中の気分と認知の変化に関する研究で、低糖質ダイエットと脳の化学反応の変化との関連が調査されています。
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ケトジェニックダイエットと脳機能
- 論文名: “The Nervous System and Metabolic Dysregulation: Emerging Evidence Converges on Ketogenic Diet Therapy“
- 著者: David N. Ruskin, Masahito Kawamura Jr, Susan A. Masino
- 掲載誌: Frontiers in Neuroscience, 2012
- 概要: この論文では、ケトジェニックダイエットが神経系に及ぼす効果と、特にエネルギー代謝の調整に関するその影響を詳しく調査しています。