このページでは、暮らしのレシピになる様々な情報を掲載。読者や編集部員の質問「昆布出汁はなぜ沸騰させてはいけない?沸騰させたほうが濃い気がします。」に、ズバッと結論から回答しています。

昆布出汁はなぜ沸騰させてはいけない?まずいことでもあるの?
昆布出汁は、日本料理の基本とも言えるだしの一つです。その昆布出汁を取る際には、沸騰させてはいけないと言われていますが、その理由は何でしょうか。
昆布を沸騰させるとダメな理由
昆布には「マンニット」という成分が含まれています。このマンニットは、昆布の甘みの元となる成分であり、昆布独特の旨味を引き出す要素の一つです。
しかし、昆布を沸騰させると、このマンニットが分解されてしまい、昆布の旨味が失われてしまいます。さらに、沸騰させることで昆布の表面の成分が溶け出し、出汁が濁ってしまうこともあります。
そのため、一般的な昆布の出汁のとりかたとしては、昆布を水につけて長時間放置する一番だしの取り方が主流となっているわけですね。
昆布だしはなぜ沸騰前に取り出すのですか?
昆布だしを取る際には、先程述べたように水につけて数時間放置したあと、お湯を火にかけます。このとき、沸騰する前の水温で昆布を取り出すのが最も理想的です。80度くらいで取り出してしまっていいと思います。
沸騰直前の水温は、昆布の旨味成分を最も効率よく引き出すことができる温度とされています。この温度で昆布を煮ることで、昆布の旨味や甘みを最大限に引き出すことができます。
しかし、沸騰したお湯に昆布を入れ続けると、苦味や雑味がでてしまうため、放置することはおすすめできません。
ちなみにかつおだしは沸騰してから入れますか?
かつおだしの場合、昆布だしとは異なり、沸騰してからかつお節を入れる方法が一般的です。かつお節の旨味成分は、高温で短時間煮ることで最もよく引き出されます。そのため、沸騰したお湯にかつお節を入れて、短時間煮ることで、かつおの旨味を最大限に引き出すことができます。
結論:沸騰させずにさっさと昆布を出すのがよい
まとめとして、昆布出汁を取る際には沸騰させないことが重要です。沸騰させると、昆布の旨味や甘みが失われてしまうため、沸騰直前の温度で昆布を取り出すことで、最も美味しい昆布出汁を取ることができます。

でも、沸騰させたほうが濃い昆布だしが取れる気がします。
「沸騰したほうが濃い昆布だしが取れる気がする」という感じがするのは、実は正しい説もあります。
かつての和食の調理法では、昆布を小さく切って強火で沸騰させ、濃厚な出汁を取るやり方が一般的だった説があります。この出汁の特徴は「ダシの味一発」とも言われ、その濃さが特徴でした。この方法が選ばれた背景には、調味料の醤油などが高価だったため、多くの人々が手を出せず、主に濃い出汁と塩で料理を味付けしていたとされます。
特に、江戸時代には多くの庶民が肉体労働をしており、彼らには濃い味が求められていたという説もあります。
江戸前の蕎麦屋は、いまも「一番出汁」ではないところも。
しかし、時代が進むと、出汁の味の好みは薄口に移行していきました。今日私たちが一般的に知っている出汁の取り方は、実は新しい方法と言えます。例として、古くから続く蕎麦屋では、現代の一番出汁(水に昆布を長時間つけて抽出する)の技法は採用されていません。
それでも、現代の和食の職人の中には、古くからの伝統を守り、濃い出汁を取って、それをさらに煮詰めて「天然のダシの素」として使用する方もいます。
このような歴史の一説をみるに、沸騰させて昆布だしを取る方法も一定の時代や状況で好まれていたことが理解できますね。