このページでは、暮らしのレシピになる様々な情報を掲載。読者や編集部員の質問「大豆ミートは糖質制限向き?ダイエットに使える?使えない?」に、ズバッと結論から回答しています。
大豆ミートは糖質制限ダイエット向きですか?
大豆ミートの糖質制限への適性は限定的
大豆ミートはタンパク質が豊富で低脂肪な食品で、ヘルシーさが好まれていますが、糖質制限に向いているかは微妙です。具体的には、大豆ミートの加工方法や成分、摂取する量に注意が必要です。以下で詳しく説明いたします。
1. 大豆ミートとは何か?
大豆ミートは大豆タンパク質を主原料とした食品で、肉の代用品としてよく用いられます。低脂肪でタンパク質が豊富なため、ヘルシーな食生活を求める人々にとって魅力的な食品となっています。
2.大豆ミートの糖質量は100gあたり6.3g
糖質制限ダイエットは、糖質の摂取を抑えることで、体内での脂肪燃焼を促進させるダイエット方法です。なんとなく糖質を少なめにする、という意識では体の変化(ケトーシス状態)を迎えることはできず、糖質の量は厳密にコントロールする必要があります。
大豆ミートは大豆そのものの糖質が少ない方ですが、一般的な大豆ミート製品は100gで6.3g程度の糖質量を含んでいるので、これをどう評価するかで判断は分かれます。1日50gまでの糖質摂取を許可しているのであれば、少し料理に使うのはいいでしょう。
しかし、糖質量がなくはないので、油断すると設定した糖質摂取量をオーバーしてしまうかもしれません。
なぜ大豆ミートに糖質が含まれているかというと、大豆そのものにも糖質が含まれているからです。また、製品ごとに糖質の量がまちまちなので、次の点に注意が必要です。
2.1. 加工方法と糖質の量
大豆ミートの加工方法によっては、糖質が添加されることがあります。市販されている製品には、風味を向上させるために砂糖や調味料が加えられているものも多く、糖質制限ダイエットには不向きな製品も存在します。
2.2. 大豆の糖質はよい糖質?
大豆そのものも糖質を含んでおり、低GIですので、血糖値を上げにくい特徴があります。
どうせ1日50gしか糖質を摂取できないなら、その50gは白ごはんやうどんから摂取したい…と考える方にとっては、避けたほうがよいでしょう。
一方で、1日50gの糖質を摂取するにあたり、少しでも良好な糖質(低GIであるとか、穀物のように一緒にビタミンBや食物繊維が含まれる等)を摂りたい人にとっては、大豆ミートは良い選択肢になるはずです。
3. 大豆ミートの正しい選び方
糖質制限ダイエットを行う際に大豆ミートを取り入れる場合、以下のポイントを考慮することが推奨されます。
- 成分表示を確認し、糖質が少ないものを選ぶ
- 適切な調理法を選ぶ
- 摂取量をコントロールする
いくらヘルシーだといっても、200gも300gも食べてしまっては、結構な糖質量になります。また、肉の風味を求めて焼肉ソース、ウスターソースをかける等の調理方法もおすすめできません。こういったソースには糖質が含まれているので、計算がズレてしまう場合があります。
4. 糖質制限ダイエット以外の健康への効果
大豆ミートは糖質制限ダイエットの文脈だけでなく、コレステロールを気にする方にも適した食品です。大豆イソフラボンなどの成分が心血管系の健康を支える効果も期待されています。
糖質制限ダイエットと大豆ミートの考え方はわかりました。そもそも大豆ミートはどのような栄養面の特徴がありますか?
まずは大豆ミート100gあたりの栄養成分を確認してみましょう。
大豆ミート100gあたりの栄養成分
成分 | 量 |
---|---|
カロリー | 約120kcal |
三大栄養素 | |
タンパク質 | 約14.3g |
脂質 | 約4.2g |
炭水化物 | |
糖質 | 約6.3g |
食物繊維 | 約3.3g |
ビタミン | |
ビタミンA | 約40μg |
ビタミンB1 | 約0.12mg |
ビタミンB2 | 約0.11mg |
ビタミンC | 約1.3mg |
ビタミンD | 約0.2μg |
ビタミンE | 約1.3mg |
ミネラル | |
鉄分 | 約3.8mg |
カリウム | 約450mg |
カルシウム | 約40mg |
マグネシウム | 約60mg |
亜鉛 | 約2mg |
この表から、大豆ミートはバランスよく栄養が取れる食材であることがわかります。大豆ミートは、健康に気を付ける人々にとって多くの栄養面での特徴やメリットを持っていますので、いくつかご紹介します。
1. タンパク質が豊富
大豆ミートは、動物性の肉と比較しても高いタンパク質を含んでいます。タンパク質は身体の成長や修復、免疫機能の強化に必要な栄養素で、特にベジタリアンやヴィーガンの方にとって重要なタンパク質源となりますね。
2. 脂肪分が少ない
大豆ミートの脂肪分は通常の肉類よりも少ないため、低脂肪ダイエットを目指す方に適しています。特に、動物性脂肪に含まれるコレステロールがほとんど含まれていないため、コレステロールを気にする方にも良い選択肢となるでしょう。
3. 大豆イソフラボンの存在
大豆には大豆イソフラボンという成分が含まれています。この成分は女性ホルモンに似た働きをし、更年期障害の緩和や骨粗鬆症の予防など、女性の健康に良い影響を与えるとされています。
4. 鉄分とカルシウム
大豆ミートは鉄分やカルシウムを比較的多く含んでおり、骨の健康や貧血予防に役立つとされています。特に、肉を摂取しない食生活の方にとっては重要なミネラル源となるでしょう。
5. ダイエットへの応用
低脂肪で高タンパクな大豆ミートは、ダイエット中の方にもおすすめです。飽和感がありながらカロリーが抑えられるため、減量を助ける食品としても適していますね。
いい事尽くしですね。でも思ったのですが、糖質が含まれているなら、わざわざ代用肉の大豆ミートではなく、普通のお肉を食べたほうがいいかもしれませんね。
もちろんそういった考えもありますね。わかります。大豆ミートと普通のお肉の選択は個人のニーズや目的に応じたものとなります。以下、大豆ミートと普通のお肉のそれぞれのメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
大豆ミート
メリット
- 低脂肪: 大豆ミートは動物性肉に比べて一般に脂肪分が少ないため、ダイエット中の方にも適しています。
- 特有の栄養素: 大豆イソフラボンなど、健康に有益な成分が含まれています。
- 動物福祉の観点: 興味がないひとにとってはどうでもいいかもしれませんが、大豆ミートは動物を使用せず、環境負荷も低いため、それを好む考えの人からも選ばれます。
デメリット
- 糖質の含有: 大豆本来の糖質量のほか、一部の大豆ミート製品には糖質が添加されている場合があります。
- アレルギーの問題: 大豆アレルギーを持つ人には適していません。
普通のお肉
メリット
- 高タンパク: 肉は高いタンパク質を提供し、筋肉の成長や修復に役立ちます。
- 糖質がほとんどない: 糖質制限ダイエットに取り組んでいる方にとって、肉は適した食品です。
- 味と食感: お肉の特有の味と食感を楽しむことができます。
デメリット
- 脂肪分とコレステロール: 高脂肪の肉は、脂肪分とコレステロールが多いため、健康に配慮する必要があります。
- 動物福祉と環境: 動物の飼育に伴う倫理的な問題や、環境への影響が気になる方にはデメリットとなることもあります。
大豆ミートも立派な糖質制限ダイエットの味方
大豆ミートと普通のお肉、それぞれにはメリットとデメリットが存在します。糖質制限だけでなく、健康状態、ダイエットの方針、好みの観点などから、最適な選択をするとよいでしょう!
今回のテーマに関連する論文・文献
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Hughes, G. J., Ryan, D. J., Mukherjea, R., & Schasteen, C. S. (2011). “Protein digestibility-corrected amino acid scores (PDCAAS) for soy protein isolates and concentrate: Criteria for evaluation.” Journal of Agricultural and Food Chemistry, 59(23), 12707-12712.
- この論文では、大豆プロテインアイソレートとコンセントレートのアミノ酸スコアを評価しました。PDCAASはタンパク質の品質を評価する一般的な方法で、大豆のタンパク質が良質であることが確認されています。
-
Young, V. R., & Pellett, P. L. (1994). “Plant proteins in relation to human protein and amino acid nutrition.” The American Journal of Clinical Nutrition, 59(5), 1203S-1212S.
- このレビューでは、植物性タンパク質(大豆を含む)と人間のタンパク質およびアミノ酸の栄養に関する包括的な分析が提供されています。植物性タンパク質の利用とその効果についての詳細な情報が含まれています。
-
de Mejia, E. G., & Dia, V. P. (2010). “The role of nutraceutical proteins and peptides in apoptosis, angiogenesis, and metastasis of cancer cells.” Cancer Metastasis Reviews, 29(3), 511-528.
- 大豆たんぱく質が持つ健康効果に焦点を当てた論文で、特にがん細胞への作用について調査しています。大豆のタンパク質とペプチドが、アポトーシス、血管新生、転移にどのように影響するかを解説しています。
-
Messina, M. (2016). “Soy and Health Update: Evaluation of the Clinical and Epidemiologic Literature.” Nutrients, 8(12), 754.
- このレビューは、大豆および大豆製品の摂取が人間の健康に与える影響を広く評価しています。大豆たんぱく質の栄養学的側面から、大豆摂取の様々な健康への利点とリスクについて詳細に解説しています。