このページでは、暮らしのレシピになる様々な情報を掲載。読者や編集部員の質問「低カロリーで長期間過ごすと基礎代謝が落ちるって本当ですか?どれくらい落ちますか?」に、ズバッと結論から回答しています。
低カロリーで長期間過ごすと基礎代謝が落ちるって本当ですか?
はい、低カロリーで長期間過ごすと基礎代謝が落ちます。
1. 低カロリーで過ごすと基礎代謝は落ちる!
低カロリーで長期間過ごすと基礎代謝が落ちる、という現象は科学的に確認されています。特に、論文 “Persistent metabolic adaptation 6 years after ‘The Biggest Loser’ competition” により、大幅な減量後に基礎代謝が減少し、その状態が長期にわたって続くことが示されました。
そもそも基礎代謝とは、私たちが何もしない状態、つまり休息時の身体のエネルギー消費のことを指します。これが低下すると、普段の生活で消費するエネルギーが少なくなり、同じ食事量でも体重が増加しやすくなるという問題が生じます。
そのため、基礎代謝は、ダイエットをしたいひとにとっては重大な関心事のひとつでしょう。
まずは、この論文を中心にざっくりとアウトラインを説明をしますね。
2. 「The Biggest Loser」実験の背景
「The Biggest Loser」は、米国の人気テレビ番組で、参加者たちは短期間での大幅な減量を競い合いました。
2016年に公開された論文では、この番組の参加者に焦点を当て、減量後の基礎代謝の変化が研究されました。
3. 実験結果:基礎代謝の持続的変化
論文では、番組終了後6年が経過した時点での参加者の基礎代謝が調査されました。結果として、基礎代謝の減少が確認されただけでなく、なんとその変化が6年にわたって維持されることがわかったのです。
この基礎代謝の減少は、減量に成功した個人において特に顕著でした。
4. なぜ基礎代謝が下がるのか?
基礎代謝の減少は、エネルギー消費の効率化に関連しています。体重が減少すると、エネルギーを消費する組織の量も減少し、必要なエネルギーが下がると考えられます。
さらに、体が飢餓状態と認識し、エネルギーの消費を抑制する可能性もあります。
5. 低カロリーと基礎代謝の関係の意義
この現象は、ダイエットや健康管理に重要な示唆を提供しています。
低カロリーの食生活が継続されると、基礎代謝が減少するために、痩せたいのに余計痩せにくくなるという皮肉な結果をもたらすのです。
なぜ低カロリーで過ごすと、基礎代謝が低下するのでしょうか?
基礎代謝の低下がどうして起こるのか、そのプロセスを詳しく見ていきましょう。
1. エネルギーの保存
長期間にわたる低カロリー摂取は、体に飢餓状態と認識されることがあります。飢餓状態では、生存のためにエネルギーの消費を最小限に抑える必要があります。
そのため、基礎代謝が低下し、生命維持に必要な最低限のエネルギー消費に調整されるのです。
2. ホルモンバランスの変化
低カロリー摂取は、甲状腺ホルモン、成長ホルモン、インスリンなど、代謝に関連するホルモンのバランスを変化させることが知られています。
例えば、甲状腺ホルモンの分泌が減少すると、代謝が落ち、基礎代謝が低下します。これもひとつの要因と考えられます。
3. 筋肉量の減少
筋肉はエネルギーを消費する組織で、基礎代謝に大きく影響します。極端なカロリー制限は筋肉を減少させる可能性があり、結果として基礎代謝が下がることがあるのです。
4. 適応的減速(Metabolic Adaptation)
長期のカロリー制限により、身体がエネルギー効率を向上させる「適応的減速」が発生することがあります。
これは、以前よりも少ないエネルギーで同じ生理的機能を維持できるようになる現象で、基礎代謝の低下につながります。
5. 脂肪組織の役割
脂肪組織は単なるエネルギー貯蔵庫ではなく、レプチンなどのホルモンを分泌し、エネルギー代謝を調節します。
極端なカロリー制限は、このようなホルモンのシグナルを変化させ、代謝を低下させる可能性があります。
低カロリー生活には要注意
基礎代謝の低下は、エネルギーの保存、ホルモンバランスの変化、筋肉量の減少、適応的減速、脂肪組織の役割など、複雑に組み合わさったプロセスによって引き起こされる現象です。
これらのメカニズムは個人差も大きく、個々の生活習慣や体質に応じて変動するため、一概に言うのは難しい部分もあります。
しかし、長期間の低カロリー摂取が基礎代謝に与える影響は科学的にも示されており、ダイエットや健康管理において注意が必要です。
では、基礎代謝を落とさずにダイエットをするにはどうしたらいいですか?
基礎代謝を落とさずにダイエットを進めるには、以下の方法を心がけるとよいでしょう。
1. 適切なカロリー制限
極端なカロリー制限は避け、必要な栄養素を確保しつつ摂取カロリーを減らす方法を採りましょう。一日のカロリーを急激に減らすのではなく、徐々に減らしていく方法が基礎代謝を保ちやすいとされています。
2. バランスの良い食事
タンパク質、脂質、炭水化物などのバランスが取れた食事を心がけることで、栄養素の偏りを避け、健康的な体重減少が可能です。
3. 筋トレの取り入れ
筋肉は基礎代謝に大きく影響しますので、筋トレを取り入れて筋肉量を保つ努力が必要です。筋肉量を増やすことで、エネルギー消費を高め、基礎代謝を向上させることができます。
4. 有酸素運動の組み合わせ
有酸素運動もダイエットには効果的で、脂肪燃焼を促進します。筋トレと合わせて行うことで、より効果的な体重減少が期待できます。
5. 小分けの食事
1日の食事を3食から5~6回に小分けにすると、飢餓感を抑制し、代謝を安定させる助けとなります。
6. 十分な睡眠と休息
睡眠不足はホルモンバランスを乱し、代謝を下げる可能性があるため、十分な睡眠と休息が必要です。
ダイエットに近道なし
結局、ダイエットに近道がないことがわかりますね。健康的なライフスタイルを送り、十分に運動し、そのうえで「急激な減量を目指さずゆっくり取り組む」ということが大切といえます。