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Q.「年をとると涙もろくなる」というのは本当ですか?科学的に教えてください。

情報調査隊

このページでは、暮らしのレシピになる様々な情報を掲載。読者や編集部員の質問「「年をとると涙もろくなる」というのは本当ですか?科学的に教えてください。」に、ズバッと結論から回答しています。

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「年をとると涙もろくなる」というのは本当?

「年をとると涙もろくなる」は科学的にも説明される現象

年齢と涙もろさとの関係についての疑問に答えます。科学的な研究に基づき、「年をとると涙もろくなる」というのは一般的に認められる現象であると言えるでしょう。

以下、この現象がなぜ起きるのか、まずはざっくり解説していきます。

1. 涙もろさの定義と測定

涙もろさとは、感情が高まると涙を流しやすくなる状態のことです。測定方法としては、感情を刺激する映像や音楽などを被験者に提示し、その反応を観察する方法が一般的です。

2. 脳の感情中枢の変化

年齢とともに、脳の感情を司る部分の働きに変化が生じます。具体的には、前頭葉の機能の低下などが報告されており、感情のコントロールが難しくなるとされています 。

3. ホルモンバランスの変動

加齢によるホルモンバランスの変化も涙もろさに影響すると考えられます。例えば、エストロゲンやセロトニンなどのホルモンの変動が、感情の安定に影響を及ぼす可能性があるとされています。

4. 社会的な要因

涙もろくなる現象は、生物学的な要因だけでなく、社会的な要因にも起因することがあります。年齢を重ねることで得られる経験や人間関係が、感受性を高めるという研究結果も存在します。

5. 年齢による個人差

一方で、「年をとると涙もろくなる」というのは個人差が大きいものでもあります。遺伝的要因や個人の性格、感受性なども涙もろさに影響を与えるため、一概に全ての人に当てはまるわけではありません。

「年をとると涙もろくなる」は本当!

「年をとると涙もろくなる」現象は、脳の変化、ホルモンバランスの変動、社会的な要因、そして個人差など、多岐にわたる要因が関与する複雑な現象であると言えます。この理解は、自分自身や周りの人々とのコミュニケーションにおいて、共感や理解を深める助けとなるでしょう。

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年齢とともに、脳の感情を司る部分の働きに変化が生じるって本当ですか?

脳の構造の変化が起こる

人が年を取ると、特に前頭葉が萎縮することが知られています。前頭葉は意志決定や感情のコントロールに関与しており、この部分の萎縮は感情のコントロールに影響を与えるとされています。

ニューロトランスミッターの変化

また、年齢とともに、脳内での情報伝達物質であるニューロトランスミッターの構成と機能が変化することも報告されています。これにより、例えば、ドーパミンやセロトニンなどの変化が、感情のコントロールに影響を与えることがあります。

感情の処理経路の変化

年齢に伴い、感情を処理する経路も変化することが指摘されています。これにより、感情の発生と表現の仕方が変わり、特に涙もろくなるといった現象が観察されることがあるとされています。

また例えば、年を取ると怒りっぽくなるということも聞いたことがあるでしょう。これも同様の原因であると考えられます。

加齢による脳の変化が、涙もろさを引き下ろしている!

加齢による脳の感情中枢の変化は、複数の側面から捉えられます。構造的な変化、化学物質の変化、感情処理経路の変化など、これらが複合的に作用して、涙もろさを含む感情の変化を引き起こします。

この理解は、高齢者の感情の健康をサポートする上で重要な知見となるでしょう。

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加齢によるホルモンバランスの変化も涙もろさに影響する、という点も詳しく教えてください。

加齢によるホルモンバランスの変化が涙もろさに影響を与えるという点について、以下のように詳しく解説いたします。

1. エストロゲンの減少

特に女性において、閉経後のエストロゲンの減少は感情の変動に影響を及ぼすことがあるとされています。エストロゲンは感情を安定させる働きを持ち、その減少は涙もろさを引き起こす可能性があります。

2. セロトニンの変動

セロトニンは「幸福ホルモン」とも称される神経伝達物質で、感情の安定に関与しています。加齢に伴いセロトニンのバランスが変動すると、感情のコントロールが困難になり、涙もろくなることがあるとされています。

3. ストレスホルモンの影響

コルチゾールなどのストレスホルモンも、涙もろさと関連があります。加齢によってストレス応答が変化することが、涙もろさの増加につながる場合があるといわれています。

4. 男性ホルモンの変動

男性においても、加齢によるテストステロンの減少が感情の変動に影響を及ぼすことがあるとの報告もあります。このホルモンの減少が、涙もろさの増加に関連することが考えられます。

5. その他のホルモンとの相互作用

涙もろさは、これらのホルモンだけでなく、多岐にわたるホルモンの相互作用によって影響されることがあります。全体のバランスの変化が、感情のコントロールに影響を及ぼす可能性があります。

ホルモンバランスの変化も、「涙もろさ」に影響する!

加齢によるホルモンバランスの変化は、涙もろさを含む感情の変動に深く関連しているとされています。これらのホルモンの変動が個人差を生じさせるため、全ての高齢者が同じように涙もろくなるわけではありません。

健康管理やケアにおいて、個々のホルモンの状態を理解し、適切なサポートを提供することが重要となるでしょう。

今回のテーマに関連する論文・文献

1. 加齢による脳の感情を司る部分の働きの変化

参照論文:Kunzmann, U., Kupperbusch, C. S., & Levenson, R. W. (2005). Behavioral Inhibition and Amplification During Emotional Arousal: A Comparison of Two Age Groups. Psychology and Aging, 20(1), 144–158.

この研究では、加齢に伴い感情の表出に変化が生じることが示されています。高齢者は、若者に比べて感情の抑制が難しくなることがあると報告されています。

2. 感情認識の変化

参照論文:Ruffman, T., Henry, J. D., Livingstone, V., & Phillips, L. H. (2008). A Meta-Analytic Review of Emotion Recognition and Aging: Implications for Neuropsychological Models of Aging. Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 32(4), 863–881.

感情認識の変化も加齢に伴う現象として知られています。このメタ分析では、感情の処理に関連する脳機能の変化が詳細に調査されています。

3. ストレスと感情の変動

参照論文:Seider, B. H., Shiota, M. N., Whalen, P., & Levenson, R. W. (2011). Greater sadness reactivity in late life. Social Cognitive and Affective Neuroscience, 6(2), 186–195.

ストレスホルモンの変動も、感情の変動と関連しています。この研究では、高齢者における悲しみの反応の増加について報告されており、涙もろさの増加と関連がある可能性が示されています。

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