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Q.日本ではレジ袋3円の有料化になりましたが、これで環境はよくなるのでしょうか?

情報調査隊

このページでは、暮らしのレシピになる様々な情報を掲載。読者や編集部員の質問「日本ではレジ袋3円の有料化になりましたが、これで環境はよくなるのでしょうか?」に、ズバッと結論から回答しています。

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日本ではレジ袋3円の有料化になりましたが、これで環境はよくなるのでしょうか?

日本では、2020年からレジ袋の有料化が始まりました。まぁ評判が悪いですよね。評判が悪いなりにも環境へのいい影響があればと思う人もいるかもしれません。結論から言えば、環境への影響は無視できるくらい小さいといえます。その点を解説していきますね。

この政策の背景や、環境への影響について詳しく見ていきましょう。まずはレジ袋有料化の背景をおさらいしましょう。

1.レジ袋有料化の背景

日本のレジ袋消費量は年間約300億枚と言われています。これは、1人あたり年間約240枚のレジ袋を使用している計算になります。このような大量のプラスチック製品の消費は、環境問題として大きな課題となっていました。

そのなか、日本のレジ袋有料化は、環境問題への対応としての一環として導入されました。その背景には、国内外の環境問題や国際的な動き、そして日本独自の課題が絡み合っています。以下に、その詳細な背景を深掘りしてご紹介いたします。

1.1. 海洋プラスチック問題の深刻化

世界中の海洋には、大量のプラスチックごみが流出しています。具体的には、海洋に流出するプラスチックごみの量は、毎年800万トン以上とも言われています。

これらのごみは、微小なプラスチック粒子となって海洋生物の体内に取り込まれることがあり、食物連鎖を通じて人間の健康にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。

1.1.1. マイクロプラスチックの問題

海洋に流出したプラスチックは、紫外線や波の力によって徐々に分解され、マイクロプラスチックと呼ばれる微小な粒子になります。これらの粒子は、魚や貝類などの海洋生物に摂取され、生態系全体に影響を及ぼす恐れがあります。

1.1.2. 海洋生物への影響

海洋生物がプラスチックを誤飲することで、消化器系の障害や栄養不足などの健康被害が生じることが知られています。特に、海鳥やウミガメなどは、プラスチック製品を食物と誤認しやすく、多くの個体がプラスチックの摂取による死亡が報告されています。

1.2. 石油資源の消費とCO2排出

レジ袋は、石油を原料として製造されるため、その生産には大量のエネルギーが必要です。この過程で排出されるCO2は、地球温暖化の原因となっています。

1.2.1. 石油の有限性

石油は有限な資源であり、将来的には枯渇すると予測されています。そのため、非効率的に消費することは、経済的・環境的な観点からも望ましくありません。

1.2.2. 地球温暖化との関連

レジ袋の製造や廃棄に伴うCO2排出は、地球温暖化の加速に寄与しています。地球温暖化は、気候変動や自然災害の増加など、多岐にわたる影響を及ぼすとされており、その対策としてレジ袋の消費を抑制する動きが強まっています。

1.3. 国際的な動きと日本の遅れ

欧米諸国を中心に、レジ袋の有料化や禁止が進められてきました。日本も、国際的な流れに従い、環境問題への対応としてレジ袋有料化を導入することとなりました。

1.3.1. 海外の取り組み

多くの国々では、早い段階からレジ袋の有料化や完全禁止が進められてきました。これにより、レジ袋の消費量の大幅な削減や、環境への意識の向上が見られています。

1.3.2. 日本の遅れとその背景

日本は、レジ袋有料化の導入が遅れていました。これは、消費者の利便性や経済への影響を懸念する声が強かったためです。しかし、国際的なプレッシャーや国内の環境意識の高まりを受け、政策の転換が図られることとなりました。

レジ袋有料化の背景には、深刻な環境問題や国際的な動き、そして日本独自の課題が絡み合っています。これらの背景を理解することで、レジ袋有料化の意義や必要性がより明確になるでしょう。

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背景は国際的プレッシャーもあったのですね。有料化による効果はどうなのでしょうか?

2.有料化による効果

レジ袋の有料化は、環境保護のための一策として導入されました。この有料化によって、どのような効果が期待され、実際にどのような変化が見られているのかを詳しく探っていきましょう。

2.1. レジ袋の消費量の減少

最も直接的な効果として、レジ袋の消費量が減少したことが挙げられます。

2.1.1. マイバッグの普及

有料化の導入以降、多くの消費者がマイバッグを持参するようになりました。これにより、店舗でのレジ袋の提供量が減少し、プラスチックの消費が抑えられています。

2.1.2. 消費者の意識の変化

レジ袋が有料となることで、消費者はその必要性や使用量を再評価するようになりました。これにより、無駄な使用が減少し、持続可能な消費行動へのシフトが進んでいます。

2.2. 環境意識の向上

レジ袋を有料化することで、消費者の環境に対する意識が高まるとともに、環境問題への関心や理解が深まっています。

2.2.1. 環境教育の機会

レジ袋有料化は、多くの人々に環境問題を考えるきっかけを提供しています。学校や家庭での環境教育の機会として、このテーマが取り上げられることが増えています。

2.2.2. 他の環境問題への取り組みの促進

レジ袋の問題を通じて、プラスチックの過剰な消費や廃棄物問題など、他の環境問題に対する関心も高まっています。これにより、さまざまな環境保護活動や取り組みが促進されています。

2.3. 経済的な影響

レジ袋の有料化は、経済的な側面にも影響を及ぼしています。

2.3.1. 新たなビジネスチャンス

マイバッグの需要の増加に伴い、多様なデザインや機能を持つマイバッグが市場に登場しています。これにより、新たなビジネスチャンスが生まれています。

2.3.2. 店舗の取り組み

一部の店舗では、レジ袋の代わりに環境に優しい素材を使用したバッグを提供するなど、独自の取り組みを行っています。これにより、ブランドのイメージ向上や顧客の獲得につながっています。

レジ袋の有料化による効果は、消費量の減少や環境意識の向上、経済的な影響など、多岐にわたっています。これらの効果を通じて、持続可能な社会の実現に向けた一歩を踏み出すことができるでしょう。

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確かに意識するようになったりと効果はあったかもしれませんね。環境問題の解決はこれだけで十分なのでしょうか?

有料化だけで十分か?

レジ袋の有料化は、環境問題への対応策として注目されていますが、もちろんこれだけで環境問題が解決するわけではありません。以下に、その詳細な背景と他の必要な取り組みについて深掘りしてご紹介いたします。

3.1. レジ袋以外のプラスチック製品の問題

レジ袋はプラスチック製品の一部に過ぎません。日常生活で使用される多くのプラスチック製品が、環境問題の原因となっています。

3.1.1. 使い捨てプラスチックの問題

ストローやカトラリー、食品の包装材など、使い捨てのプラスチック製品は大量に消費されています。これらの製品も、環境への影響が大きいため、総合的な対策が求められています。

3.1.2. マイクロビーズの問題

化粧品や洗剤に含まれるマイクロビーズは、下水を通じて海洋に流出し、海洋生物に摂取される問題が指摘されています。これも、環境問題としての対応が必要です。

3.2. リサイクルの推進

プラスチック製品のリサイクル率を向上させることで、新たな資源の消費を抑えることができます。

3.2.1. リサイクル技術の進化

プラスチックのリサイクル技術は、まだ発展途上であり、効率的なリサイクルが難しい場合が多いです。技術の進化が求められています。

3.2.2. リサイクルシステムの構築

回収から再利用までのシステムを整備することで、リサイクルの効率を向上させることができます。地域ごとの取り組みや、企業との連携が重要です。

3.3. 持続可能な代替素材の開発

プラスチックの代わりとなる、環境に優しい素材の開発が進められています。

3.3.1. バイオプラスチック

植物由来の原料を使用したバイオプラスチックは、石油資源の消費を抑えることができます。しかし、生分解性やコスト面での課題が残っています。

3.3.2. 再生紙や布製品

紙や布を使用した製品は、リサイクルが容易であり、環境負荷も低いです。これらの製品の普及を促進することで、プラスチックの消費を減少させることができます。

まとめ

レジ袋の有料化は、環境問題への一つの対策として有効ですが、それだけで十分とは言えません。プラスチック製品全体の消費量の削減、リサイクルの推進、代替素材の開発など、多角的な取り組みが必要です。持続可能な社会を目指すためには、総合的な対策と、それを支える意識の変革が求められています。

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日本のレジ袋消費量は年間約300億枚とのことですが、これがどれくらい減ると、どれくらい環境へのインパクトがありますか?

日本のレジ袋消費量が年間約300億枚とされている場合、この数値が大幅に減少すると、環境へのインパクトも相応に減少します。コンビニやスーパーで働いている人の体感値では、「レジ袋の使用量は全然減っていない」と考えているかもしれませんが、ここでは仮にレジ袋の使用量が半分になったらどうなるかを試算し、具体的なインパクトを詳しく探ってみましょう。

1. 石油資源の節約

レジ袋は石油を原料として製造されています。したがって、レジ袋の消費量が減少すると、それに伴い石油の消費も減少します。

例えば、レジ袋1枚の製造に0.002リットルの石油が必要とされる場合、300億枚のレジ袋の製造には約600,000トンの石油が必要です。この数値が半減すると、300,000トンの石油が節約されることになります。

これは、2019年のデータにはなりますが石油の日間使用量が9,760万バレル/日(年間481,458,360万トン/年と試算)とした場合、0.0000623%の削減になります。

2. CO2排出量の削減

レジ袋の製造、輸送、廃棄に伴うCO2の排出も考慮する必要があります。レジ袋の消費量が減少すると、これらのプロセスに関連するCO2排出も減少します。

具体的な数値は製造プロセスや輸送方法によって異なりますし、それでもレジ袋有料化では微量な影響かもしれませんが、消費量の減少は地球温暖化の進行を遅らせる効果が期待されます。

3. 海洋汚染の削減

レジ袋は海洋汚染の一因となっています。レジ袋の消費量が減少すると、海洋への流出も減少し、海洋生物への影響やマイクロプラスチック問題の軽減が期待されます。

4. 廃棄物処理のコスト削減

レジ袋の減少は、廃棄物処理のコストや手間の削減にも繋がります。自治体のゴミ処理施設の負担軽減や、焼却時の有害物質の排出削減など、多岐にわたる効果が期待されます。

まとめ

レジ袋の消費量が大幅に減少すると、石油資源の節約、CO2排出量の削減、海洋汚染の軽減、廃棄物処理のコスト削減など、多くの環境へのごくわずかではあるもののポジティブなインパクトが期待されます。

ごくわずかなので、直接的に環境をただちによくしようというよりかは、政策を通じて人々の意識を変えることや、国際的プレゼンスの高まりのほうが効果が大きいかもしれませんね。

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